
自然と伝統工芸が生む彩
沖縄のやわらかな風が吹き抜ける空の下、伝統工芸「琉球紅型(びんがた)染め」の体験に参加してきました。
琉球紅型は、鮮やかな色彩と独特の文様が特徴の染色技法。今もなお、沖縄の風土とともに受け継がれている伝統工芸です。
紅型は、型紙を用いて布に模様を染める技法で、沖縄の自然や風景をモチーフにしたデザインが数多く見られます。たとえば、亀甲模様や花鳥風月、海の波など、自然の恵みを感じさせる意匠が随所に散りばめられています。
今回の体験では、布にあらかじめ転写された模様に、筆や刷毛を使って色を重ねる工程から始まりました。
まずは刷毛を立てて擦るように色を入れ、同じ色を2度重ねて深みを出します。さらに、筆や刷毛を使って塗り重ねた部分を擦りながらぼかしていく――この工程を何度も繰り返しながら、じっくりと模様が浮かび上がっていきます。
初めは慣れない手つきに戸惑いましたが、「ここに濃い色を入れて、対面にも同じ色を入れるとバランスが取れるよ」「グラデーションで奥行きを出すときれいだよ」と先生が丁寧にアドバイスしてくださいました。
そのとき、花を活けるときに先輩から教わったことがふとよみがえってきました。
色を入れる感覚は、どこか花を活ける作業と似ていて、不思議とワクワクした気持ちで作品づくりに向き合うことができました。
特に心に残ったのは、使われる染料がすべて自然由来であるという点です。
藍色は藍の葉から、黄色はウコンや福木から、茶色は「カテキュ」というアカシアの一種から採取されており、植物との深い繋がりを肌で感じることができました。
3日後、色がしっかりと定着した布から糊をお湯で丁寧に洗い流し、ついに作品が完成。
この体験を通じて、自然の恵みと人の手仕事が織りなす伝統の力を、身をもって学ぶことができました。
植物から生まれた色が、人の手によって美しい模様として命を宿す――それはまさに、沖縄の自然と文化の融合だと感じました。
◎そして、今回の紅型体験で感じた「自然との繋がり」は、私たちゴトウフローリストのレッスンにも通じるところがあります。季節の花々に触れ、デザイナーの技術を身近に体感できるフラワーレッスンは、きっと皆さまの日常にも彩りをもたらしてくれることでしょう。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご参加くださいませ。