緑の里親
葉がふさふさとして緑が美しく、夏は風にそよぐ姿が涼しげなアジアンタムは、人気の観葉植物のひとつ。育てるのが難しいことでも知られており、その生育に必要なのは、適度な湿気と通気と日照と温度と愛情と・・・
この「適度」の2文字が非常にデリケートなのです。
自宅のベランダのアジアンタムはこの夏で5年目。株分けを経過して、とても大きく成長してくれました。これまでの間の生育は順風満帆という訳ではなく、エアコンと不意の出張が原因の大きな「適度」不良が少なくとも2度。ちりちりになった葉は元に戻ることはなく、大部分の葉を泣く泣くハサミでカットして、新芽の再生に時間を掛けて手を尽くしました。ビニールポットのミニ観葉植物が、よくぞここまで成長してくれたものです。生育の重大要素は「適度」ではなく「過度」の愛情だったのでしょうか。
何かに縁ができて手を掛けると、そこに愛おしさが生まれます。保護猫の里親制度などもそうだと思いますが、鉢物担当の私としては共感が持てます。店頭の鉢物、特に観葉植物は生ものには違いはありませんが、花のように生鮮材ではないので、お買い求めがあるまでの期間はお店で手入れをしながら生育させています。手塩を掛けて育てている観葉植物が店内のいたるところに鎮座しているわけです。先日も丹精込めて管理したドラセナをご購入いただいた(嫁に行った)時は、淋しいようで嬉しい、複雑な心境でした。
店内には見事に成長をつづけている希少性のある観葉植物も。まずは、ロング気根のモンステラ。空気中から酸素と水分を取り込むために茎から伸びる「気根」は、切ってしまったり鉢の土に埋めてしまうのが一般的ですが、原生林に自生する雰囲気を見た目で楽しむために、できるだけ長い「気根」を珍重する趣向もあります。下の画像の、階段をはうコードようなものがそれです。
そして、根上がりセローム。力強い気根が複雑に絡み合いながら大地に突き刺さる様は今にも幹をを持ち上げて歩き出すような、不思議の国のアリスに出てきそうな躍動感があります。
全品、スタッフ一丸の愛情を持って、大切に育てております。やがてお迎えいただくお客様との、素敵な出逢いを想いながら。
◎ゴトウフローリストでは、ミニ観葉から大型観葉まで豊富に取り揃えております。見た目も涼やかな観葉植物は、夏の暑さに強いものやお手入れの方法など、スタッフのお話を交えながらお選びいただけます。