ゴトウフローリスト 港区 花屋 多羅葉 

葉っぱのKami

in Roppongi Shop / written by Ayaka Kimura

「ハガキ」は「葉書」と書きますが、これは多羅葉(タラヨウ)という、モチノキ科の常緑広葉樹が由来とされています。幹の高さは10m程に高くなる常緑高木で、4~5月には黄色の花を咲かせ、秋には直径8㎜程の丸い赤い実を実らせます。

私は、六本木本店の切花の仕入れを担当しており、全国から集まる花材との出会いを求め、市場へ足を運び、花々を見て、触れ、香りを感じ、入念に。そして真剣に。時間との闘いでもあり、集中力が要求される仕事ですが、特別な出会い得られたときの達成感何倍にも感じられます。この駆け引きがまたやみつきになる、まさにやりがいのある仕事です。

長年この仕入れに携わってきましたが、多羅葉に出会ったのは、昨年の8月。多くの場合、サイズ感であったり、発色の良さに目を惹かれて仕入れをしますが、この多羅葉は、仲卸さんに「これ、知ってる?ハガキの木!」と、声を掛けてもらわなければ出会っていなかったと思います。もしかしたら、今までもすれ違っていたのかもしれません。

多羅葉の葉は楕円形で長さが15~20㎝程で肉厚、葉の縁は小さいギザギザがついており、表面はツヤツヤピカピカ、裏面も滑らかです。小枝など尖ったもので葉にこするように字や絵を描くと、やがて茶色っぽく浮かび上がります。消えずに長く残る特性から平安時代には言葉を刻む葉として利用されました。見た目は目立つ特徴がないものの、その歴史に心を奪われました。

「葉っぱの神(紙)」が現れる。

ゴトウフローリスト 港区 六本木 花屋 多羅葉

店頭に並べても特に目立たない多羅葉。そのエピソードをスタッフに共有し、お客様にも 商品説明をすると「面白いわね ♡ いただこうかしら!」と、あっという間に完売となり、私もそのうちの数本を購入し、我が子の通う年長クラスへプレゼント。5歳児の子供たちも思い思いに文字を刻む楽しさに夢中になりました。その笑顔を見て、私は幸せな気持ちに満たされました。

ゴトウフローリスト 港区 花屋 多羅葉

花の美しさや驚きのサイズ感、様々な組み合わせから生まれるサプライズはとても重要です。それだけではなく背後にある特徴や物語も大切に、接客時やインスタライブ等を通じて提供していきたいと思います。

                               

◎ゴトウフローリストでは、最高品質の花々と、その物語の魅力をより深く伝え、お客様に新しい感動をお届けします。どうぞ、足をお運びください。毎週金曜日は通常より多くの花々が入荷しております。オープンの11時からの時間帯が特におすすめです。