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老舗の歳時記
−時花−
紫陽花
日本の梅雨の時期を、凛とした花姿の紫陽花が季節を彩ります。
しとしと降り、雨に濡れて咲く姿は、青、紫、桃色がふんわりと混ざり合い、雨の日特有の霞がかったような空気の中でとても幻想的です。
しとしと降り、雨に濡れて咲く姿は、青、紫、桃色がふんわりと混ざり合い、雨の日特有の霞がかったような空気の中でとても幻想的です。
紫陽花の学名(属名)はHydrangea(ハイドランジア)で、ラテン語の「水(hydor)」と「容器(angeion)」を合わせた語に由来し、「水がめ」を意味します。
そのため、梅雨時期の代表的な花木とされています。
日本における紫陽花の観賞の歴史は古く、万葉集にも詠まれ、松尾芭蕉の句にも「あじさいや 藪の小庭の 別座敷」という有名なものがあります。
日本に自生する紫陽花には、ガクアジサイ、ヤマアジサイ、エゾアジサイなどがあり、これらの原種の変異や交雑により、多くの園芸品種が生まれました。
江戸時代には中国を経由してヨーロッパに伝わり、イギリスやフランスで品種改良が行われ、その後、改良された品種が逆輸入され「セイヨウアジサイ」と呼ばれるようになりました。
実は花びらと思われている部分はガクにあたり、本当の花はその中心にある小さな花です。
そして、紫陽花の花の咲き方には、中央部に両性花を囲むようにつく「がく咲き(レースキャップ系)」や、ほとんどが装飾花である「てまり咲き(ホルテンシア系)」など、さまざまな形態があります。
品種によって、咲き進むにつれて移り変わる花の色も魅力の一つです。
特に青い紫陽花は、咲き始めは黄緑色をしており、次第に薄水色、濃いブルーへと変化し、最後には再び緑色がかった色になる七変化を見せてくれます。
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