五感を開く<br><font size="-2">in Roppongi Shop / written by Miki Takahashi</font>

七十二候が霜降の末候に変わり楓蔦黄(もみじつたきばむ)を迎える頃、私は上野にある東京国立博物館へ足を運びました。

今回のお目当ては「やまと絵展」。
平安時代前期に成立した「やまと絵」は、中国に由来する唐絵や漢画といった外来美術の理念や技法との交渉を繰り返しながら、独自の発展を遂げたそうです。 また、四季の移ろいや花鳥風月、日本古来の生活文化や年中行事、歴史などあらゆるテーマが描かれています。

港区 六本木 花屋 ゴトウフローリスト 五感

「源氏物語絵巻」や「鳥獣戯画」など、様々な素晴らしい展示が圧巻です。その中で、特に私のお気に入りは室町時代後期の絵巻「百鬼夜行絵巻」です。古い道具が変化した妖怪達が列をなして夜行する情景が描かれています。水墨による漢画の伝来により、対抗するかのように多彩な色彩を得た時代ならではの色使いや発色の美しさ、そして右から左へと連なるコミカルでリズミカルな妖怪たちの躍動感に心を奪われます。国宝や重要文化財の数々は、まさに本物を見ることの出来る「日本美術の教科書」です。

”本物に触れて五感をひらく”フラワーデザインをするにあたり、色彩やバランスの構成はとても重要です。その感覚を養うために、日々様々なものに触れて五感をひらき、感性を高めるようにしています。また、その経験を思い出としてだけではなく、いつでも取り出せるように自分の中の引き出しにストックしておきます。私にとって定期的に訪れる美術鑑賞は心身のリセットでありデザインの学びの場です。

日本美術は正直未知の世界であり、勉強不足な領域でしたが、鑑賞していくなかで心奪われる作品がいくつか存在し、特に絵巻の世界にはすっかり魅了されてしまいました。芸術の世界は奥が深く、本物に触れて感性を磨くことで、自分の中の小さな変化に気付かされます。そして、その変化が私はたまらなく好きなのです。
そのような経験などを活かし、オンラインストアでの商品を手がけています。
商品の名前はそれぞれデザイナーを表す言葉で表現されており、Fillamentと冠するものが私のデザインになってます。
皆さまの五感をひらくタイミングはいつですか。

 

◎ゴトウフローリストは、花を通しての閃きや美しい瞬間を大切にします。花々は言葉を超えた表現者です。その美しさや儚さから生まれる感動で、新たな視点や気づきをしっかりと感じ、生活に花を添える魅力を深く追求しています。